ひとり暮し高齢女性の貧困問題はどこから来るのか
第3号被保険者年金(主婦・夫年金)の見直しも予想される中、厚生労働省国民生活基礎調査結果(2021年分)をもとに阿部彩都立大教授が独自集計した結果、65歳以上のひとり暮しの女性の相対的貧困率は44.1%で、現役世代のひとり親世帯の貧困率44.5%とほぼ同様の深刻な水準であるとのこと、65歳以上ひとり暮し男性の貧困率と比較すると14%の開きがあるとのことです。また高齢女性の婚姻状況別に貧困率を見ると、既婚の13.5%に対し、未婚は43.1%、離別は43.6%、死別は32%で、「結婚」という状況にないと貧困リスクは高まることが伺えるとのことです。
年金額で見ると、男性の62%が月15万円以上になるのに対し、女性は61%が10万円以下に留まっており(厚労省2022年調査)、女性と男性で年金額に大きな差が出ることが数字で示されています。その要因を「高齢期を支えるべき年金が家族モデル、男性中心モデルになっていること、現在の高齢者は性別役割分業に基づ”女性は男性に養ってもらうもの”という規範意識が、女性がひとりで生きることを想定しない制度となり温存された結果」と阿部教授は分析しています(朝日新聞掲載記事より)。
ひとり暮しの高齢者が増えている中、新たな制度への転換が求められています。
2025年に行われる公的年金制度改正に向けた動向に注視しつつ、自分事として制度の在り方を考えていくことが必要です。