政治とお金―市民が監視できるしくみに

政治資金パーティ収入の組織ぐるみの裏金化問題をきっかけに、政治とお金にまつわる問題が連日報道され、新たな実態も明らかになっています。
神奈川ネットは20年前から政治とお金の問題に取組み、利権の温床となる企業・団体献金の廃止と個人寄付を拡げるための政策提案活動を行ってきましたが、調査活動として、各業界が政治へ関与するためにつくった政治団体である政治連盟や、議員が代表を務める政治団体等の調査もメンバーで分担して行いました。
政治団体には総務省に届出をしているもの(2022年末約3,000団体)と、都道府県の選挙管理委員会に届出をしているもの(22年末約約58,000団体)の2種類ありますが、当時は現在のようにインターネットで見ることのできる収支報告書は一部。地方の選挙管理委員会に行かないと本来見ることのできなかった政治団体の収支報告書を閲覧するため、国内で発行されたすべての出版物が納入されている国会図書館に通いました。現在は新潟県を除く全都道府県の選挙管理委員会がインターネットで収支報告書を公開していますが、その使い勝手は悪く、「政治団体や公職の候補者の政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに公正に行われるよう」政治資金に関わることについて定められた政治資金規正法(1948年施行)の目的からかけ離れた、市民が監視することを阻んでいる制度に現状なっています。具体的に言うと、”議員は自らが代表を務める政治団体を複数持っていているが、収支報告書の大半が紙で提出されそのままネット上で公開されているため、団体間のお金の流れを市民がチェックすることが非常に困難”です。人海戦術で調べるか、パソコンを何台か用意して目で追う等しないと流れを確認することは非常に難しく、市民が不断に監視できるものになっていません。
今回、政治資金の透明化対策として各党が政治資金収支報告書提出のデジタル化を上げていますが、すでに国会議員関係の政治団体は総務省のオンラインシステムを使うこと(デジタル化)が努力義務とされています。しかし最新2022年分については9.1%(総務省所管分)、全国選挙管理委員会所管分においては5.7%(日本経済新聞社調査)に留まっているとのことです。国会議員関係の政治団体は昨年分の収支報告書を今年5月末までに提出することが義務付けられていますが(その他は3月末)、その動向にも注視していきます。